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脳梗塞に対する血栓回収療法

脳梗塞とは

脳梗塞は、脳の血管が突然詰まり、酸素や栄養が届かなくなることで、脳の一部がダメージを受けてしまう病気です。発症すると、半身まひや言葉が出なくなる、意識がもうろうとするなどの症状が急に現れます。放っておくと、重い後遺症が残ることや、命に関わることもあります。

血栓回収療法の目的

血栓回収療法は、カテーテルを使って、脳の太い血管に詰まった血のかたまり(血栓)を取り除くことで、止まってしまった脳への血流をできるだけ早く回復させる治療です。この治療により、脳の働きを守り、重い後遺症を防いだり、命を救ったりすることが期待されます。

血栓回収療法の対象

主に「太い血管」が突然詰まるタイプの脳梗塞(大血管閉塞)が血栓回収療法の対象となります。治療の適応は、発症からの時間だけでなく、画像診断により脳のダメージの範囲や残された血流などを総合的に評価して判断されます。一般的に24時間以内であれば治療が検討されますが、時間が経つほど脳の損傷が進行するため、できるだけ早く治療を受けることが重要です。

血栓回収療法の方法

1.検査と診断

頭部CTやMRIで出血の有無や血管の詰まりを調べます。

2.カテーテル挿入

足の付け根(大腿動脈)や腕の血管からカテーテルを挿入し、詰まっている脳の血管まで進めます。

3.血栓の回収

ステント型の器具や吸引カテーテルを使い、血栓を物理的に取り除きます。血流が再開したことを確認して治療を終了します。

血栓回収療法の利点と注意点

利点:

  • 薬による治療(t-PA静注)よりも血管の再開通率が高い
  • 治療が成功すれば、症状の改善や回復が早くなる可能性がある

注意点・リスク:

  • 出血(特に脳内出血):治療中や治療後に血管が破れることがあります
  • 血管の損傷:カテーテル操作により血管を破いてしまう可能性
  • 血栓の一部が他の血管に飛んでしまうリスク
  • カテーテル挿入部位からの出血
  • 造影剤による腎機能への影響やアレルギー反応

よくあるご質問(FAQ)

治療を受けるには、どのくらい急いだらいいですか?

血栓回収療法は、発症から24時間以内が目安ですが、早ければ早いほど効果が高いとされています。「いつもと違う」と感じたら、すぐに救急車を呼んでください。

この治療を受ければ、必ず元どおりに戻れますか?

すべての患者さんで完全に回復するわけではありませんが、早期に治療できればできるほど、後遺症が少なくなる可能性があります。

どんな人でも治療を受けられますか?

症状の程度や脳の画像所見、発症からの時間などをもとに、医師が慎重に判断します。すべての方に行えるわけではありませんが、適応があれば積極的に行うべき治療です。

高齢でも治療は受けられますか?

年齢だけで治療の可否は決まりません。画像検査などを基に、治療の効果が期待できるかどうかを判断します。