WFITN2019 ナポリ 報告

 

   2019年10月21-24日の日程でナポリ(イタリア)で開催された第15回WFITN(World Federation of Interventional and Therapeutic Neuroradiology) から帰国しました。今回の参加者総数は1475人、うち日本人は140人で、前回に続いて米国に次いで2番目に多い国となりました。ただし、この数字は企業関係者を含んでいるため、医師だけで換算するとおそらく日本がトップです。次回の日本(京都)開催に向けても、大いにアピールできたことと考えています。お忙しい中、はるばるイタリアまで参加された先生には、この場をお借りして御礼申し上げます。

 学会は初日が主に画像とAIS、2日目がシャント疾患、3日目が脊髄と狭窄性病変、4日目が動脈瘤とデバイス・将来展望という大まかな振り分けで進行しました。さすがヨーロッパの学会で、制限時間を無視して話し続ける演者、そしてディスカッションでの熱い盛り上がりで予定時間をオーバーする場面がしばしば見受けられました。また、日本で使用されていない最新デバイス、AVMのtrans-venous approachに代表されるなかなか真似のできないテクニック等々、刺激的な発表が続きました。動脈瘤のセッションの最後に、座長が「10年前に我々はclip vs coilの論争をしていたが、もう決着は着いた。今は、coil or diverterの論争中だ。さて、10年後にneurosurgical clippingが生き残っていると思うか?」と問いかけると、シンポジストの1人目のneurosurgeonは意外にも「clipは10年後には存在しないだろう、もはや伝統芸だ」と答え、2人目のneuroradiologistは逆に「いやわずかながら生き残っている、抗血小板薬の問題や造影剤アレルギーの患者がいるからだ、しかしそれらが克服されることを願っている」と返したのが、私の中では印象的でした。

 学会2日目のGeneral Assemblyでは各種選挙が行われ、2023年の本会はNew Yorkで行われることが決定しました。そして、member at large(理事)に松丸祐司先生がめでたく選出されました。これで、Vice presidentの田中美千裕先生、Interventional Neuroradiology 誌編集長の小宮山雅樹先生、次期学術集会会長の坂井信幸先生、とあわせて、WFITNの中心を日本人が占めることとなりました。選挙にご協力いただいた先生に重ねて深謝いたします。

 10月末のナポリでしたが、会期中は連日南イタリアのまぶしい日射しが真夏のように肌を刺し、一方、夜になると地中海の乾いた涼しい風が心地よく、本場のピザとワインを堪能された先生も多かったと思います。また、青の洞窟で有名なカプリ島やベスビオ火山の噴火で消えたポンペイの街も手軽なショートトリップで、学会の合間に訪れた先生も多かったのではないでしょうか?

 さて、2年後はいよいよ京都でのWFITN開催です。今年はラグビーW杯で、世界中に日本の“おもてなし”文化を披露できたように感じています。我々、日本の脳血管内治療医も坂井信幸会長を盛り立てて、日本での素晴らしい学会を成功させたいと考えております。是非、皆様お一人お一人のお力添えを、どうぞよろしくお願いいたします。

 国際委員会委員長 杉生憲志

 おまけ
学会翌日の25日はなんと予期せぬイタリア全土のストライキでした。ナポリ空港は午後から完全閉鎖、午前便の先生は帰国できましたが、午後便の我々は延泊を余儀なくされました。これもイタリアらしいアクシデント!おかげで我々は一日余分にナポリを楽しめました(負け惜しみ!)日本ではストはないけど台風や地震が心配ですね、皆さんお祈りしましょう。

 

会場エントランス

メイン会場

WFITN2021 Kyotoブース

KyotoブースのJapanグッズに殺到する参加者

会場野外での Welcome reception

会場野外に設置された三台のピザ釜

サンカルロ劇場での Social Event 

Social Dinner