理事長退任あいさつ

 2016年11月末をもってNPO法人日本脳神経血管内治療学会(JSNET)理事長を学会規定の定年により退任いたしました。

 本学会は脳神経領域に特化した血管内治療にフォーカスを絞った学会であり現在のJSNETの目的として「脳神経血管内治療及び関連する領域の学術研究、広報、調査研究及び資格認定等を行うことで、その進歩及び発展を図り、もって学術文化の発展と国民の福祉に寄与する」を詠っており、そのルーツは1982年12月に始まった第1回血管内手術法研究会に端を発しております。発足当初の研究会は約200名の参加会員と20題ほどの演題でしたが、その後回を重ねるとともに成長し、1990年の第6回目からは日本脳神経血管内手術研究会と名称変更、1998年には第14回日本脳神経血管内治療学会として学会組織へと改変致しました。2000年からは現在まで引き継がれている、実技試験を含む厳格な試験に基づいた専門医、指導医の認定制度を開始し、2003年からは会員による直接選挙で運営委員を選出する会則改正と新体制への移行を行い、2006年には現在の形である特定非営利法人日本脳神経血管内治療学会JSNET)へと移行、法人化し発展を遂げてきました。2016年11月には第32JSNET総会が、2,400名に登る参加者を得て成功裏に行われ、現在学会員も3,600名に登る大きな学会へと成長してきました。

 私はNPO法人日本脳神経血管内治療学会(JSNET)として法人化した時に初代理事長を務められた滝和郎先生を、事務局次長の坂井信幸先生とに事務局長として支える立場で学会運営に関与し、2012年12月から滝和郎先生の後任として2期4年にわたり理事長として学会運営を行ってまいりました。この間、本学会の大きな目的である「脳神経血管内治療及び関連する領域の学術研究、広報、調査研究及び資格認定等を行うことで、その進歩及び発展を図り、もって学術文化の発展と国民の福祉に寄与する」を具体化するための様々な事業や、年度ごとに行われる学術総会への援助を行ってまいり、学会会員数の右肩上がりの増加や、学会認定の専門医数の増加、地方偏在の解消などに向け、実績は上がってきたと思います。ただ、新専門医制度のもとでのJSNET専門医の位置付けが未だ不明確である点や、新たなデバイスの承認への影響力などがまだ足りないこと、日本脳神経外科学会や日本放射線学会、日本内科学会、日本救急医学会などの他の基本領域の学会との関係についてなど、未解決の課題も少なくありません。

 このような状況の中、今回私は定年により理事長を辞しますが、幸いにも後任には今まで実務を取り仕切ってくれていた坂井信幸先生が理事長となり、本学会運営が継続されるとともにさらに発展することが期待されます。私自身も理事職は定年ですが、学会相談役として学会運営については見ることができる立場にはおりますので、何かの折にはお役に立てることもあるかもしれませんので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます今後のJSNETのさらなる発展を祈念して私の理事長退任のご挨拶とさせていただきます。

201612

兵頭明夫(獨協医科大学越谷病院) 

 

 

 

理事長就任あいさつ

 2016121日に、兵頭明夫前理事長の後任として、特定非営利活動法人日本脳神経血管内治療学会の理事長に就任いたしました。会員、関係各位に慎んで就任のごあいさつを申し上げます。

 兵頭明夫前理事長のごあいさつにありますように、本学会は脳神経血管内治療及び関連する領域の学術研究、広報、調査研究及び資格認定等を行うことで、その進歩及び発展を図り、もって学術文化の発展と国民の福祉に寄与する」ことを目的としています。学会の重要事業は、1)学術集会2)機関誌3)調査研究事業、4)専門医制度、などが定款に挙げられています。学術集会は、201611の第32回学術総会では2500名を越える参会者を得るまでに発展しました。本年は東京で33回目の学術総会が開催されます。これまで同様、それぞれの個性を発揮しながら企画運営する会長を精一杯支援していきたいと思います。また機関誌は英文誌の発刊を契機にPMCPubMed Central)への収載を目前にするまでに発展を遂げつつあります。会員の積極的な投稿によりますます充実した機関誌を発刊し続けることを目指します。専門医制度は発足から17年目となり、すでに1172名の専門医、うち287名の指導医を認定しており、2017年の受験者はついに200名を越えるまでになりました。破裂脳動脈瘤に対するコイル塞栓術の優位性、急性脳動脈閉塞に対する血管内再開通療法の有用性が科学的に確認され、血管内治療はすでに行うべき治療となっています。その担い手となる脳血管内治療医を認定する事業の重要性は言うまでもありません。滝 和郎先生、兵頭明夫先生をはじめとする諸先輩が創設され運営されてきた専門医制度は、世界中の脳血管内治療医が高く評価するまでに発展し、多くの新規デバイスの実施医の資格に採用されています。学会の最重要事業と位置づけている脳血管内治療専門医の認定と生涯教育にこれまで同様取り組んでいきます。そのためにも、会員の協力を得てできるだけ正確に診療と教育の実態を把握しなければなりません。施設調査と資格更新時の活動歴調査への協力をお願いいたします。

 本学会は脳血管内治療の専門学会としては世界最大の会員数を誇ります。1995年に滝 和郎先生が京都で第3回World Federation of Interventional and Therapeautic NeuroradiologyWFITNCongressを開催されてから21年経ちました。本年Budapestで開催される第14回Congressで決まる2021年の第16Congressの開催国に立候補することにしました。全会員の協力を得て我が国でWFITN Congressを開催し、世界からの参会者に我が国と本学会のすばらしさをアピールしたいと思いますので、何卒宜しくご協力賜りますようお願い申し上げます。

 兵頭明夫前理事長のご挨拶にありますように、本学会だけでは対処できない諸課題の解決と発展のためには日本脳神経外科学会をはじめとする基本領域学会や、日本脳卒中学会、日本脳卒中の外科学会などの専門学会との連携を図らねばなりません。昨年は日本機械学会バイオエンジリアリング部問と本学会が共同で「脳神経血管内治療に関する医工学連携研究会」を設立し、医工学の研究者が一同に会して学術活動を展開する試みを始めました。本学会に課せられた使命を果たすべく精一杯務めさせて頂きますので、会員はもとより、企業・当局を含め学会内外の皆様には、これまで以上のご指導ご鞭撻賜りますようお願い申し上げます。

201612

坂井信幸(神戸市立医療センター中央市民病院)