医療機器およびその取り扱いに関する安全情報
最近、ある医療機関よりカテーテルに関する重篤な有害事象が法務・医療安全委員会に報告されました。この機器は広く一般に使用されているものであり、また特段、間違った方法で使用されたわけではないにもかかわらず、重大な有害事象が生じていますので、学会のホームページに注意喚起という形で掲載致します。
医療機器は頭蓋内血管用のマイクロバルーンカテーテルおよびその誘導用のマイクロガイドワイヤーです。バルンーの誘導と位置を安定させるため、末梢部(報告例では中大脳動脈/M3部)に誘導したマイクロガイドワイヤーの先端で血管穿孔を来たしています。関心領域から離れた部位に生じたごくわずかな造影剤の血管外漏出に気付かず、術後に重度の障害を後遺した事例です。通常の一般的な使用法で生じた事例ですので、誰もが遭遇する可能性があると考えます。
頭蓋内にカテーテルやガイドワイヤーを誘導して行う脳血管内治療医およびチームは、これまで同様細心の注意を払って操作することに加え、下記の対策を講じ安全に脳血管内治療を行うよう努めて下さい。
1.
頭蓋内動脈は、機器により穿孔や解離などを生じる危険があることを常に意識しすること。
2.
マイクロガイドワイヤーを末梢に誘導する時は、ガイドワイヤーの先端をX線透視の関心領域内に納めるようにすること。交換法に用いるガイドワイヤーの先端は、血管を痛めないような形状にしておくこと。
3.
機器の誘導、特に交換法によって機器を誘導する時は、術者は機器の動きを注視しているので、助手がガイドワイヤーの先端の動きを常に監視し、必要に応じて術者に助言を与えること。
2014年5月20日
NPO法人日本脳神経血管内治療学会 法務・医療安全委員会
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